Kurzweil K1000

製造から30年経つ年代物。
《オールド機材あるある》 電解コンデンサの液漏れ、および二次被害。

Kurzweil K1000 コンデンサ破損・液漏れ

2020年夏、約1ヶ月ぶりに電源を入れてみたところ、液晶ディスプレイが空白のまま起動せず、どうも様子がおかしい。
数回電源を入れ直せば治ったが、そのうち完全に起動不能になった。
原因を探っていくとメインボード上にあるコンデンサの劣化による液漏れを発見。

経年劣化を考慮して電解コンデンサを全交換したが、組み付けてみるとなぜかまだ起動不能。
そこでプリント基板をよく観察しながらテスターを当てていくと、液漏れしていたコンデンサの傍に断線箇所が見つかった。
原因は言わずもがな、漏れ広がった電解液による腐蝕。
肉眼では判別不能で、ルーペやデジカメで拡大表示してやっと分かる程度のサイズ。
Kurzweil K1000 プリントパターン破損

非常に細かく難易度の高い作業になるがハンダを盛って導通を回復。
無理だったらリード線で配線を引き直すつもりで挑んだが、何とかうまくいった。
Kurzweil K1000 プリントパターン補修
導通をチェックして保護のためレジスト補修液を塗って完成。無事起動した。

電解コンには関係のない別の箇所だがこれも腐蝕か、鍵盤スイッチ基板上の断線。発音はするがベロシティーが常に最大になる症状が発生。
導電塗料で修復して数ヶ月弾きまくって様子を見たが、今のところ不具合なし。
Kurzweil K1000 鍵盤スイッチ接点部断線

こちらは海外のカーツウェル1000シリーズ・ユーザーズグループサイトにもレポートが上がっている、電源部コネクタ裏のハンダクラック。当機種では多発しているようだ。
ピンの箇所にもよるが、このケースでは発音不能となり、音声出力端子にテスターを当てると直流電圧が掛かっていた。
Kurzweil K1000 電源部ハンダクラック

あるときから急にオーディオ出力に乗るようになった“ボソボソ”・“プスプス”ノイズの原因は、出力回路にあるリレーの接触不良だった。
幸いリレー自体がカバーの外れる構造だったので、部品交換せずに内部接点の微調整で完治した。
どういうわけかΓ型の接点のうち1本が、透明カバー越しに目視でハッキリ分かるほど変形していたのが謎。
(写真は上が調整後の状態、下が調整前)
Kurzweil K1000 オーディオ出力リレー
Kurzweil K1000 オーディオ出力リレー修理前

(※修理・改造は自己責任でお願いします。この記事を元に工作を行った結果について、筆者はいかなる責任も負いかねます。)

使用撮影機材:
(1・4・5・6枚目)Canon PowerShot SX170 IS
(7枚目)Sony Xperia 8
(2・3枚目)SONY α57 + Tamron SP AF 60mm F/2 Macro, α57内蔵フラッシュ + イマジェニーク クリップオン・ソフトライト・スクリーン

● Back<<<