KAWAI K5/K5m


当スタジオで最も古い2台。K5はキーボード型。K5mは鍵盤なしの音源モジュール。
16ボイス・15パートのマルチティンバーで国産初の自動ボイス数割り当てを実現した。240×64ドットの大型ディスプレイも発売当時は非常に目新しいものだった。
倍音加算方式というとんでもなく面倒な音作りのシステムながら、操作性は最近のシンセが化石に見えてしまうほど良い。

K5のフロントパネルは左端からマスターボリューム、データインクリメント・ダイアル、上下左右のカーソルキーが配置されており、ダイアルとカーソルキーに左手指を掛けると1つの画面でのエディット中は左手をその位置から動かす必要が無く、右手も鍵盤だけ押さえていればよい。画面の切り替えは右手でそれぞれの画面に1対1で対応したボタンを1クリックするだけの簡単さ。
Yes/Noのaskもダイアルで決定する。(2重のaskにして操作ミスを防いでいる)
デジタルシンセの操作性はここ20年で全く進歩していないどころか退化していると、K5を見る度に感じる。

一見難しそうに思える音作りだが、エンベロープ付きのローパスフィルターとは別に11バンドのフォルマントフィルターを装備し、また1サウンドあたり64倍音×2系統のボイス構造になっているため、2種類の別々の音を作ってバランスすることで割合簡単に音を完成させることができる。
非整数次倍音も基音を第1倍音以外にして音程を合わせれば得られる。
爆発音などは不得意と思われがちだが、以前保育園の歌の発表会で使う曲のSE制作を頼まれて超リアルなロケットの発射音を作ったこともある。
演算が粗いため、その歪みを利用すると地鳴りのような音も出せるのだ。
(余談だが、その音は最終的にブランド物の靴下3足に化けて戻ってきた。^^)

K5/K5mのディスプレイのバックライトにはEL(エレクトロ・ルミネッセンス)が使われているが、これに電気を供給するためのインバーターが意外に短い期間で壊れた。秋葉原で同等の部品(¥1,800:参考)を買って修理して10年程になるが、いまだに故障せずに動作している。
EL自体も2,3年で暗くなってくるので交換の必要がある。最近、カットして使えるELシート(¥5,000)を買ってきて修理した。1シートでディスプレイ2枚は修理が可能なので1台あたり¥2,500。メーカーに出すとディスプレイごと交換になって1万数千円かかるとのこと。

!!注意!!
 修理・改造は各自の責任において行ってください。万が一事故が起きた場合でも当方では一切責任を負いません。
 特にELを動作させる回路には数百ボルトもの高電圧が掛かります。
 十分に知識と技術のある方以外は絶対に機器の蓋を開けたり内部に手を入れたりしないで下さい。

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